いよいよ本格的に寒くなってきました。
みなさん風邪などひいていませんか？
開院して間もないというのに日が短くなり、夕方の診療が始まるころにはもう暗くなっているという寂しげな季節になりました。開院間もなくから当院をご利用いただく患者さまに少しずつ動物医療の情報を発信するべく、思いつくまま書き連ねたものを発行してみました。

白状すると僕、実は字が苦手。字を書くのが人一倍遅い上に、読むにもすぐに飽きてお茶が飲みたくなり、字を見つめているとすぐ寝てしまうという三重苦を抱えており、おおよそ文筆業のまねごとには向かないたちです。しかもまとまりが無く長くなります。どこまで続くことやら先が思いやられますが、やってみなきゃわかりません。成せば成る、成さねば成らぬ何事も、です。

さて前置きはこの辺にして…..
なにしろまだ始まったばかりの病院ですのでそんなに重症の患者さまがたくさん来るわけではありません。お耳の掃除をしに来る方、去勢手術のご相談にみえる患者さま等がちらほらと、です。でも中には少し深刻な悩みでいらっしゃる方も少数ながらいらっしゃいます。良い結果に繋がる治療をご提供しなければいけません。

耳のはなし

で、耳掃除。これが実は軽い問題なような、そうでないような、なんです。
まめな飼い主様は家でもお手入れの一環としてお耳の掃除をしていらっしゃる方も多くいると思います。

「なにしろおとなしくしてくれないから、お耳の入口はやらせるのだけど、中の方は怖くって…」とはよく聞く話です。
では、お掃除しないとどうなるのかと聞くと、中は触れないのでかなり汚れてしまうというのです。それはそうですよね、と頷きたいところですが。
耳って掃除しないと汚れるのでしょうか？　　　　　　　　　

「でしょうかって？よごれるよ、うちの犬は」
という方、多いと思います。
そうです、犬の外耳炎というのは本当に多いなぁと思います。多すぎて犬の耳は汚れるのが普通と思ってしまうほどです。でも、そうではないはずです。本来は定期的なお掃除なしにきれいな状態であるハズです。

お耳が汚れやすいワンちゃんの多くは茶色い耳垢や黒い耳垢が溜まってることが多いのですが、実はこれ耳の中の細菌やマラセチアなどと呼ばれる真菌が多量に繁殖することと関係していることが多いのです。時々耳の中に小さな小さなダニの仲間がいることもあります。つまり、これはれっきとした外耳炎という病気なのです。

「あら、汚れるたんびに病院に行ってたんじゃぁキリがないわね」って？

ですねぇ、確かに年中汚れてるようでは一年中通うようですね。
でも、多くの場合適切に治療をすれば以後は放っておいても汚れない状態になります。
一念発起、病院で治療を受けることできれいなお耳になるかもしれませんね。

病気や治療はみんな同じじゃない、という話

さて、耳の話のつづきですが…..
「あら、うちの子はずいぶん通ったけどちっとも良くならなかったわよ」って？

そうなんです。ときどき厄介なケースもあるのです。
たとえば、アレルギーやアトピーが原因の場合です。これらは基本的には根治が難しい病気で、耳以外にも皮膚のかゆみに日々悩まされてることが多いのです。薬を使うことで一時的には良くなるのですが、治療の手を緩めることでまた悪い状態に戻ってしまいます。で、キリがないということで治療が立ち消えになることもしばしば。
でも、実は厄介なのはその先なんです。

「病院に行っても治らないんじゃぁ行かなくても同じだ」
とばかりに置いておくと病状は更に悪化。慢性的に炎症が持続しているうちに耳の穴がどんどん狭くなっていくことがあります。奥には山ほど耳垢が溜まり、次第に膿んでいくことも。犬は頭を激しく振り、しきりに耳のあたりをかきむしり夜も寝れません。あまりに可哀想と病院に行った頃にはすっかり耳がふさがっています。奥の汚れをきれいにしようにもふさがっているのでは手が出せない…….
ここまで来てしまうと、「病院には通ってるんだけどちっとも楽そうにならない、キリがないけど放っておくのも可哀想」犬もイライラ、飼い主さんもイライラ、良いことが一つもありません。

一方で、耳が汚れっぱなしでも病院になんか連れてったことなど一度もないのに大したことにならずに一生を過ごすケースがいくらでもあるのもまた事実なんです。

え？結局何が言いたいのかって？ほら、まとまらなくなってしまいました。
実際生き物のことをパターン化して説明するのはナンセンスだと思うのです。どこまで動物病院で治療してもらわないといけないのかは、その子その子で違うということ。同じような病気がほっておいても良かったり、ちゃんとしないといけなかったりするのです。

時間とお金に余裕があればできるだけきちんとするべきでしょうが、病気の性質とワンちゃんの病状、家庭の事情などで治療の内容は変わってくるということです。
その辺をいい塩梅に加減しながら治療をしようというのが私に課せられた仕事なのだなぁと考えております。

往診の風景
紅葉がきれいな時期になりました。
お休みにワンちゃんと一緒に山へ出かけるのもよさそうです。

青梅街道も御岳よりも西へ行くと、紅葉がきれいです。
往診へ行く道の途中にて…………

 

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