寒い日が続きます。病院の前の温度計は毎朝氷点下を指します。
車のフロントグラスに氷が張りなかなか出発できない毎日です。
早朝、自宅から病院までの道すがら、奥多摩街道で玉川上水沿いを走っていると冷たい水面に鴨が浮いているのが見えます。
彼らは寒かろうとやはり水の中にいるのです。
私たちの感覚からすれば暖かいところに移動させてやりたい気持ちにさせられます。
でも、たとえ可哀そうに感じても人間の勝手な感情で野生動物をいじってはいけません。何も知らずにいじる方がかえって可哀そうな結果を招きます。
人間と鴨では、体の構造や住環境に大きな違いがあって感情が共有しにくいように思います。つまり人間と同じ感覚で鴨が何を感じているかを想像しようとしても難しいのです。
本当に鴨に親切にしたいなら鴨という生き物がどういう生き物か知識を持っている必要があります。どうすれば鴨が居心地良く過ごせるか知る必要があるのです。
では、犬や猫ならどうでしょう!?
犬、猫、そして人間
私たちは普通に犬や猫を飼います。
あるいは、飼ってるわけではないのだけど世話をしているという場合もあるでしょう。
人によって多少意見の相違もあるでしょうが、犬や猫のお世話をすることは人間にとって普通の行為といってもよいでしょう。
別に犬や猫について勉強をしたわけでもない、専門家でもないごくごく普通の人が犬や猫と一緒に生活をしているのです。これってすごいことだとおもいませんか?
え?「なにを当たり前のことを言ってるんだ」って?
冷静に考えると、犬や猫と人間は動物種としてはそんなに近い分類ではないはずです。
まったく違う種類の動物が一緒に生活する不思議。
例えば猿。
猿は犬や猫に比べて圧倒的に人間に近い生き物です。
それに猿はある程度人間の身近にいる生き物です。
にも関わらず、一般的に猿は人間と共同生活を営んだりはしません。
犬や猫と人間はとてもとても長い年月の中でお互いを必要としあいながら生きていくうちに当たり前のように同じ空間で生活をできるようになっていったのです。
こんなに動物種の行動パターンに刷り込まれてしまうほどに良好な関係が築けるなんて、不思議です。
そして犬、猫は人間にとって本当に貴重なパートナーだなぁと、つくづく思うのです。
こうやってデスクワークをしている傍らで犬が座ってじっと僕の様子を見ていたり、猫がわざわざ仕事中のパソコンのキーボードの上で寝そべったり、犬猫以外の生き物がこんなに親しげに人間に寄ってくるでしょうか?
私たちと犬、猫は感情を共有しています。
でも、やはり体の構造や習性は人間と違って、かかりやすい病気もまた人間とは微妙に違います。
なまじ、感情が共有できるだけにすべてを人間の物差しで考えてしまい、思い違いで犬や猫達に嫌な思いをさせないように気をつけてあげるのが私たちの仕事だと考えています。
こんなに身近なのに、やっぱり犬は犬 という話
「もう!どうしておまえはそうなの!!」
また、ポンが柱をかじってます。
最近乳歯が抜け終わった我が家のポンと楓は、病院の柱をかじることを覚えてしまいました。
一昔前は柴犬は屋外で飼われるのが一般的でした。庭には天然のおもちゃがいっぱい!土をほじくりかえして大穴をあけたり、木の根をガリガリかじったり、不意にあらわれたトカゲにちょっかいを出したり。
家の中で生活する犬たちはかじることも、掘ることも許されてません。
でも犬はかじったり、掘ったりせずにはいられないという生き物です。
犬に何もかじるな、というのは人間に対して一言もしゃべるな、というに等しいくらい、そもそも無理な注文なんです。
「どうしてかじるの!?このタンス高かったのよ!!」
という問いは、犬の習性をよく理解すれば愚問であることがわかります。
どうしてかじるのか?「それは、タンスが一番かじり心地が良かったから。」
人間の感覚で言えば「別にかじる必要ないじゃない、何かかじってないと気が済まないのか!おまえは!」
そのとおり、何かかじってなければ気が済まないのです。
このタンスは高かったのよ!! 「高いって何?美味しいの?」
犬にとってはそんなものです。
来る日も来る日も一言もしゃべることを許されない人間はおそらく徐々に気が狂っていくことでしょう。犬も無理な注文を日々強要されると徐々におかしな行動をはじめることがあります。
かじれない、ということは犬にとって実はいろいろな問題を引き起こします。
犬にかじることをやめさせることはなかなか難しいでしょう。
いかにかじらせないか?
を考えるよりは、
何をかじらせるか?
を考えたほうが解決が早いでしょう。
ワンちゃんのかじるための物はショップでも豊富に売っています。夢中になれるものを与えることで、家具をかじるのを防げるかもしれません。
理想的なのはかじって食べられる物です。
布製、ゴム、プラスティック製の物は飲み込んだ時にトラブルを起こすことがあり、人の目が届くところで使うほうが良いでしょう。
さらにワンちゃんにとって重要なのはかじる行為が結果的に歯磨きになっているということです。ある程度固いものをかじることで摩擦で歯の汚れがとれるのです。
今ご家庭で飼われているワンちゃんの多くが小型犬です。小型犬はかむ力も弱く、固いものをかみたがらないか、かじっても力が弱く歯磨き効果が出にくかったりして中年期以降に歯石の付着や歯肉炎の問題が起こりやすくなっています。
また、力のある中型以上のワンちゃんの場合、むやみに固いものをかじりまくって歯を折ってしまうケースや家具を片っ端からダメにしてしまうトラブルも起こります。
それぞれのワンちゃんにあった、かじるおやつを与えることは歯の健康管理、ワンちゃんの精神衛生、人と犬の関係を良好に保つためにとても大事なことです!!
冬の多摩川
今年の冬は例年より寒いそうですね。
でも、僕が子供のころはいつもこれくらいに寒かったような気がします。
気のせいでしょうか?
青梅市内を流れる多摩川沿いには冬になると雪女が現れます。
あ、あくまで言い伝えの話ですけど。
雪女伝説は日本中いろいろな地方で語り継がれているようです。
文豪小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)が日本の奇譚を短編集にまとめた名作「怪談」のなかで、この雪女の伝説がしたためられています。ラフカディオ・ハーンはこの雪女の話を調布村出身の者から聞いた話をもとにまとめ上げたといわれます。上の写真から数キロ上流に調布橋があり、おそらくそのあたりが雪女の物語の舞台なのでしょう。
ある冬、猟師の親子が川をわたり、対岸の山へ狩りに出かけるのですが帰るころには日がおちて、雪が激しくなり、親子は川を渡れなくなりました。しかたなく二人は山小屋で夜が明けるのを待つことにしたのですが、その夜……….
平成の今、雪女はどこにいるのでしょうね。
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