猫に歴史あり、という話
(↑左の白黒猫が「レオ」、 右のキジ模様が「わるたろう」)
さて、上の写真は我が家の猫です。だいたい人の親バカに付き合うのは苦痛なのに、自分ちの我が子自慢は大好きなのが人間でして、
二人してちょっとスカした顔してこちらを睨みつけている感じがロックミュージシャンのようでかっこいいなぁと思いなんの脈絡も
なく紙面に載せてみました。
手前のしろくろの猫はレオ、後ろのキジはわるたろうといいます。
我が家の猫は全部で4頭。一番の年長さんが体の小さくて臆病な「てんてん」、その次にうちに一番昔からいる「おーちゃん」、スタ
イルが良くてなんだか猫というよりはチーターかなにかみたいな体型をした「わるたろう」、そして末っ子にして最強 食いしん坊の
「レオ」。
上の写真の二匹は2大巨頭。永遠のライバル同士の二匹で、例えるなら巨人と阪神、馬場と猪木、浅田真央とキムヨナ、
トムとジェリー…まぁとにかくどっちが強いのか、見方によって意見が割れるほどの僅差の実力の二匹であります。
(左がちっちゃなおーちゃん、右が体の大きなわるたろう)
もともと我が家にはおーちゃんとわるたろうの二匹が住んでいました。
こじんまりとした物怖じしない誰にでもなつくおーちゃんと、一回り体が大きくて鋭いパンチが冴えわたる わるたろう。
ちっちゃいおーちゃんは長男。まだ独り暮らしで僕一人、おーちゃん一匹の頃からの長い付き合い。
元をただせば初冬の路上に冷え切って全く意識の無い死にかけたちっちゃな子猫だったおーちゃん。よくぞ死なずに戻ってきてくれたものです。僕の仕事が忙しいものだからおーちゃんはいつも家で独りぼっち。帰ると必死な顔で甘えてくる猫でした。
そんな生活が三年くらい続いたある日、またも職場の前に捨てられていた子猫を飼うことになり、おーちゃんはいつもひとりだった生活から子猫と一緒の生活に変わったのです。おーちゃんはそれがとても嬉しかったようでちっちゃな子猫を相手に本気の取っ組み合い。
無邪気でやんちゃな盛りの子猫を上回るはしゃぎようで…
子猫を相手に本気で取っ組み合うおーちゃん、子猫を手玉に取って大喜びの毎日、ころがされる子猫もそれはそれで楽しかったようで
二匹は仲良しになりました。
(初めて見る子猫に興味津々のおーちゃん) (ちっちゃな子猫相手に大はしゃぎのおーちゃん。
子猫はその後わるたろうと命名、おーちゃんをはるかに凌ぐ
大きさになり、おーちゃんを「狩る」のが楽しみになって
いくのであった)
形勢逆転
毎日取っ組み合いをし、一緒に昼寝をして暮らすうちに子猫はすくすくと成長し、おーちゃんがやらないような様々な悪戯をする男の子へと成長して行きます。晩御飯の準備をしていると焼き魚をくわえてベッドの下に逃げ込んでしまう様はまさに
~♪おさかなくわえた野良猫 お~っかけぇて~♪
と歌に出てきそうな有様で。
そんなことのくりかえしの中でいつしか子猫は「わるたろう」と呼ばれるようになりました。
秋刀魚の骨までバリバリと跡形なく食べてしまう食生活のおかげか(骨をあげているわけではなく、勝手に持って行ってしまう)、わるたろうはすくすく育ち、ころころとした可愛らしい体型のおーちゃんとは対照的に体が長く、肩の筋肉がグッと盛り上がった野性的な体型の猫に成長しました。歩く様はさながらサバンナを闊歩するチーターのよう。
子猫をころがしてやりたい放題だったおーちゃんはいつの間にかまったく歯が立たなくなってしまい、いつしか連戦連敗。栄枯盛衰でございます。チーン……
万年幕下
(まだあどけなさが残るのに、既に体格でおーちゃんを威圧しつつあるわるたろう。負けがこんできてしょっぱい顔になっている
おーちゃん)
すっかり大人の体になったわるたろうに、おーちゃんはもはや全く歯が立たなくなりました。取っ組み合いはおーちゃんが連戦連敗。まるで横綱に稽古をつけてもらってるような様子。実力の差が歴然です。
それでもおーちゃんは毎日「お、おまえー!年下のクセにさいきんナマイキだぞぉ~っ」とわるたろうに突っかかっていくのです。おーちゃんは体ごとぶつかってがっぷり四つに組んで押し倒すスタイル、一方わるたろうはそれを寝っ転がって受け止める受け身スタイル。おーちゃんがどんなにグイグイ押し込んでもわるたろうの深い懐に受け止められて決定打にかける稚拙な攻撃のくりかえしです。おーちゃんがあまりにしつこいと、面倒くさくなるのかわるたろうはその長い手でおーちゃんの顔にパンチを繰り出します。これが出ると途端におーちゃんの出足が鈍ります。うまく懐に飛び込めなくなり足が止まったおーちゃん、完全にわるたろうの間合いです。こうなってしまうとわるたろうの狙いすましたパンチが面白いようにおーちゃんの顔面をとらえ、こらえきれずにおーちゃんは退散するのです。もうかれこれ10年近くこの二人の取っ組み合いを見てきましたが、二人のファイティングスタイルは全く変わることなく、したがっておーちゃんが勝つのを見たことがありません。
お相撲さんでもいますよね。いっつもお決まりのパターンで負けちゃう力士。「あ~!また引いたよ、引くから負けちゃうんじゃん、何年幕下やってんだよ!」なんて野次られて。
でも、おーちゃんのいいところは一度も勝てないのに全くめげずに自分から突っかかっていくところです。そんな前向きなおーちゃんを尊敬します。
(今日もおーちゃんの圧倒的不利、苦闘は続くのであった……)
連戦連敗にもかかわらず、さっぱりとしているおーちゃん。全戦全勝だが決して自分からはふっかけないわるたろう。この伝統の一戦は飽くことなく続くのでした。
さて、そんなわるたろうの一党独裁体制は永遠に続くかと思われましたが、時代の変化は我が家の猫社会にも確実に忍び寄っているのでした。
変化は新たな家族が加わるという形で訪れました。
僕が結婚をし、お嫁さんが二匹の連れ猫を伴って我が家にやってきたのです。
これはとてもとても大きな環境の変化でした。
強者と弱者がはっきりと分かれている時代が終わり、入り乱れた戦いの中で誰にもが可能性が開けるようになってきたのです。新たな戦乱の時代の幕開けです……。
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