冬真っただ中、寒い日が続きます。
朝の犬のお散歩もついついおっくうになりがちな季節です。
でも、早朝は多くのワンちゃんたちが飼い主さんに連れられてお散歩しているのを多く見かけます。みなさんいろいろ忙しい中なのに
ワンちゃんのために貴重な時間を割いて散歩に連れていってあげているのだなぁと思うと何気ないお散歩風景も微笑ましく思えます。
多くのワンちゃんにとってお散歩は何よりの楽しみでしょう。
飼い主さんだってそれを楽しみにお散歩していることがほとんどでしょう。
朝、晩にご飯をあげて、お散歩に連れて行ってあげて、寒いだろうからとお洋服を着せてあげたり、おいしいおやつも与えたり、いろ
いろなことに気を遣いながらワンちゃんと一緒の時間を共に楽しむのです。長年の付き合いの中で自分の犬がどうすると元気でいるか、
喜ぶのかが分かってきます。犬自身も感情表現をしてくれるので、どうしてあげると喜ぶかが人にも分かりやすいのです。
心の交流があるから犬は魅力的なんですね。
犬のお世話をしていて、ふと
「本当にこれでお世話の仕方はいいのかしら?」
不安になること、ありません?私はちゃんとこの子を幸せにできてるかしら?
ぼくらはそれなりに犬の正しい飼い方をわかっているつもりでお世話をしています。
でも、ちゃんとやってるつもりなのになんだか自分の愛犬が元気がない、そんな時「なにがいけなかったのかしら?」不安になることがあります。
飼い主様から様々な相談を受けて、それは必ずしも病気のことばかりではないのですが、最近様子がいつもと違う、とか、なんだか急にひどく甘えてくるようになった、とか、元気なのだけどご飯を食べなくなった、とか。ひとつひとつを、「どうしてなんだろう?」と飼い主様と一緒になって考える。日々そんなことを繰り返していく中で、最近ぼくなりの結論みたいなものがあります。それは、
「犬と人はほとんど同じだ」
ということです。
病気でもないのに元気がない時は、最近、今までと何か変わったことはないかをよく聞くようにしています。そうするとけっこう分かりやすい理由が出てくることも多いのです。ところが飼い主さん当人は指摘されるまで気が付かないことも多いようです。犬はあまり細かいことはわからない、気にしないのだと思っているような方が少なからずいるように思います。
「最近法事で人の出入りが多くて落ち着かなかった。」
「主人が病気で長期入院している。」
「ここ数日私自身が風邪をひいて寝込んでいた。」
「孫が来ていてワンちゃんを一日中追い掛け回して楽しんでいた。」
「一緒に飼っていたワンちゃんが亡くなって、この子一匹だけになった。」
そりゃぁ、犬だって疲れたり、不安になったり、落ち込んだりします。人と同じです。
「あら?私は旦那が入院してもそんなに不安にならないけど・・・」
まぁ、人によります。犬の場合だって犬によります。気にしない人もいる。気にしない犬もいる。
育て方だってそうです。
なんでも犬のいうことを聴いて甘やかして育てると、気に入らないと噛む子に育つことがあります。あまり多くを経験させずに育てると何にでもビクビクと怯える怖がりさんに育つことがあります。
若い頃に極端に劣悪な環境で育つと、気味が悪いくらい従順に育つことがあります。
一度激しい恐怖や強烈な体験をすると、自閉症のようになってしまうことがあります。
人と同じなんです。
誰だってはじめは犬のお世話の仕方が分からず、本で読んだり、人に教わったりします。でもそれは本当に基本中の基本しか書いてありません。本当はなにが正しいのか、その答えは目の前にいる自分の愛犬の中にあるのです。「この子はどうしてほしいと思っているのかしら?」よく観察し、想像を巡らせるのです。
例えば「人間の飼い方」という本があったとします。
「人は毛がほとんど生えてません。寒がりですので服を着せてあげてください。冬は特に厚着が必要でしょう。餌はなんでも食べます。肉や野菜をバランスよく与えてください。子供のうちは活発なので運動をさせますが、大人になればあまり動きませんので、運動をさせる必要がなくとても飼いやすい生き物です。入れ物はワンルーム程度で十分間に合います。きれい好きですので、トイレと風呂を入れてやります。」と、まぁこんな感じでしょうか?
どうでしょう、飼われたいですか?書かれてることは一応あってるといえばあってます。でも、飼われる立場になってみると、「えぇ・・・なんか違うなぁ」と思いませんか?
犬のことでどうしたらいいかわからない時は「自分ならどうだろう?」と自分に置き換えて考えてみるといいかもしれません。そして、自分が同じ状況ならこういうところは絶対に不満に思うだろうな、と思うことから改善するよう工夫するのです。そうするといろいろな事が人の勝手な思い込みで決めつけてることに気が付きます。
さて、一冊の本をお見せしたいと思います。ぼくが子供の頃に飽きもせずにずっと読みふけった本です。この本のせいでぼくは生き物好きという一生を生きることになってしまったというくらい、僕の人生に大きな影響を与えた本です。この本には虫、魚、爬虫類、両生類、小鳥、犬、猫、ウサギいろいろな生き物の飼い方がしたためられています。
長らく実家の片隅でほこりをかぶっていたのを、実家をたたむことになり、数十年ぶりに家に持ち帰ったのです。
懐かしいです。
犬が飼いたくて、飼ってもらえなくて、このページばかり見ていたのです。昭和50年ころの本だったでしょうか?
今とだいぶ様子が違います。
犬の育つ様子が6コマの写真とともに紹介されています。犬はセントバーナードです。今どき犬の飼い方の本でその例としてこの
ような超大型犬が引用されるなんてまずありません。
犬のいろいろ・・・マルチーズ、シェパード、アイリッシュセッター、イタリアングレイハウンド、です。
今巷で人気のトイプードルもチワワもダックスも載ってません。それどころか今ではなかなか飼うことのできない大型犬が主役です。
飼い方も書いてあります。外に犬小屋を置いてやり、鎖でつないで飼います。ちなみに年に二回狂犬病予防接種を受けることと書いて
あります。
ぼくはこれを飽きもせず何度も何度も読んではいつか犬が飼いたい、いつか犬が飼いたいと夢見たものでした。
こちらは猫のページ。可愛らしい子猫が育つ様子が同じく6コマの写真で解説されています。
さいごの6コマ目、
「生まれてから一年後、1匹だけ残しておいたメスの子も1さいになった。もうすぐ子猫を産む予定なのでお産のための箱を用意した。
中に古いタオルや布切れを置いておいた。」
と書かれてあります。写真の猫はお庭なのか、外を歩いてます。室内で飼いましょう、避妊手術を受けましょう、
ワクチンをうちましょう、なんてことは一言も書いてありません。
昭和50年ころ、まだ犬猫病院が今ほど一般的でなかった時代の犬や猫の飼い方の指南書です。
今だったら「え?」と思うような内容かもしれません。でも、この本にはその当時なりの生き物への愛情が感じられます。
写真を見たらその端はしに犬や猫への愛情が感じられませんか?
今、正しいとされている飼育法だって50年後の人が見たらなんて言うかわかりませんよ。
何が正しいかなんて時代が変われば変わってしまいます。
でも、愛情だけは変わりません。それさえあれば、犬や猫はいつまでも人の友達です。
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