最近の楓の話
我が家の柴犬兄弟ポンタと楓は八月の末に初めての誕生日を迎えて、1歳になりました。柴犬にしては小柄なまま大人になった二匹。
兄弟で同じ環境に育ってもそれぞれに個性が出てくるものですね。それに大人になるにつれて仔犬の頃とは様子が変わったりもします。
ちいさな頃ははしゃいで飛びついたかと思えば、触ろうとするとスルリと逃げてしまう子だった楓。
7月初めての生理があり月の後半にはそれも落ち着いたのだが、そのころから楓の様子がなにか違う。以前のようにはしゃぐことが
少ない。そしてやけに甘えん坊になってきた。自分から撫でてほしそうに寄ってくる。そして人の目をじ~っと見つめるようになった。
なんというか、女の子らしくなったというか。
大人になったのかな? 楓。
一般的にも雌は一度生理を経験してからの方が落ち着くとも言われています。
「最近歯がきたないなぁ」「なんか口が臭うんだけど」という話
さて、最近気になってること、それはポンタと楓の歯にうっすらと汚れがついてきたことです。ワンちゃんの歯の汚れはなんとなく
気になりながら、「ま、歯磨きしないんだから歯ぐらい汚れるよね」と流してしまうことがほとんどかと思います。
( この、奥歯の方が汚くなりやすいのです↑。 でも、い~っっっってしないと見えないから気づきにくいし、しかも
歯磨きもしにくく…… )
実際昔は犬の歯磨きなんて気にしてる人はごくごく少数派だったでしょう。というか、今でも少数派かもしれません。
「歯のことなんかほったらかしてもどうにもならないよ、大丈夫、大丈夫」
そんなもんでした。
でも最近はワンちゃんの世界でも歯の問題が重要視されてきています。
実際病院ではたびたび歯の問題を抱えたワンちゃんを良く見かけます。
その多くがお年寄りのワンちゃん。歯に歯石がビッシリつき、お口の臭いが強く甘えてお顔を近づけてくる愛らしい仕草も「可愛いんだけど、臭いがちょっと…..」と遠ざけてしまう。あるいは歯肉炎が悪化し、ひどい場合頬まで腫れあがり膿んでしまうこともあります。
こうしたケースでは麻酔をかけて歯の処置をすることが必要になってくるのですが、高齢のため麻酔をかけることもためらいがちになるので十分な治療ができないままになってしまうことも少なくありません。
わんちゃんの歯のクリーニングの話
今、わんちゃんはただのペットという存在に収まらず、大事な家族の一員として愛されています。そんな大事な存在として考えると歯に大量の歯石がついてるのを見るのは忍びなくなります。
歯のお手入れは何より日々の歯磨きがとても大事です。
人のように歯ブラシで磨くことはとても効果的です。でもワンちゃんがおとなしくやらせてくれないことも多く、続けられないことが多いようです。
また、完璧な歯磨きにはなりませんが、指にガーゼなどを巻いて歯をこすってあげるのもかなり効果が期待できます。
また、すでに歯石が大量に付着して歯磨きをしてもきれいにできないほどの汚れが付いてしまっているケースもとても多いのです。この場合一度麻酔をかけて歯をクリーニングする方法があります。麻酔をかけて、というところが大きなハードルになりいま一つ歯のクリーニングに踏み切れない方も多いことかと思います。
当然安全に麻酔をしなければなりませんので事前に血液検査が必須になります。
当院では歯のクリーニング処置を行っております。
すでに歯石が多くついてしまったワンちゃんの歯の汚れを超音波スケーラーにより歯石除去をする処置です。ご興味がありましたら、お気軽にお問合せ、ご相談ください。
ネコちゃんのお口の健康の話
さてわんちゃんの歯の話はこの辺にして、ねこちゃんのお口の話もしておきましょう。
というのも、実はねこちゃんのお口の問題はわんちゃん以上に深刻なことになってしまうことが多いからなんです。
ねこちゃんの方が深刻なケースが多いのにはいくつか理由があると思います。
それは、ねこちゃんの場合お口そのものの病気以外の感染症や腎不全といった病気の影響で深刻な歯肉炎を発症する傾向があるからなんです。
それに、ねこちゃんの場合わんちゃんと大きく違う点がもう一つ。
そもそも猫ちゃんの場合ペットショップなどで購入するケース以上に野良ちゃんを何かの縁で飼い始めるケースが圧倒的に多いのです。したがって飼い始めた時点ですでに感染症にかかっているということがあるでしょう。
だからねこちゃんのお口は日々気にしてあげるほうが良いのですが、症状が軽いうちからケアしていてもやはりゆっくり進行してしまう傾向もあり、なかなかやっかいです。
それでも何もせず年齢を重ねるのに比べて少しでもお手入れをしてあげたほうが高齢になった時に事の深刻さがだいぶ違ってくるはず。
年をとってから口の汚れやよだれ、強い口臭に悩まされるねこの飼い主さんも多いはず。若いころからのちょっとした口への配慮は猫ちゃんの長生きにはとても大事です。
我が家のおーちゃんも実は歯肉炎がけっこう深刻。今までに2回歯のクリーニングをしたけど、やっぱり進行は完全には止められない。でも、強い口臭や痛みは無く苦痛なく過ごせてます。(の、はず。本人がどう思っているのかわからないけど)
訂正とお詫びの話
思いつくままに記している駄文にいつもお付き合いいただいてありがとうございます。こちらは紙面でお配りする以外に、インター
ネットのホームページ上にも掲載しております。そしたら先日、とある獣医学部で勉学に励む学生さんからメールをいただきました。
その方はたまたまネット上で見かけたこの文章を楽しみに読んでいただいていたとのこと。しかし、一部内容に気になることがあるとのことでメールをくださったのです。それは前号の中に記した
「実は去勢をしていない老犬にはこのような肛門周囲腺癌や、会陰ヘルニア、前立腺癌、前立腺肥大などのお尻周りの病気が発生しやすいのです。」
という一文をめぐってのことでした。
曰くこうである。
「下記のように、肛門周囲腺腫は去勢手術で予防できるものの、肛門周囲腺癌においては去勢の有無に関わらず発生するものであると
認識しております。
【文献引用】
ヒトにもイヌにも肛門周囲腺という汗腺が変化した腺組織が肛門の周りをグルリと一周取り囲んでおり、排便時の潤滑に一役買っている。この腺組織が腫瘍化したものを「肛門周囲腺腫」この肛門周囲腺腫はイヌの肛門周囲の腫瘍の80%を占め、こと雄イヌに限定すれば全腫瘍中第3位の発生頻度で、もっともポピュラーな腫瘍の一つだ。名前からもわかるとおり良性の腫瘍なのだが、肛門周囲腺癌と呼ばれる悪性の腫瘍の可能性も否定できない。なぜなら見かけ上全く区別がつかないとされているからだ。けれども、肛門周囲腺癌は発生頻度が低く、かつこの同じ肛門周囲腺から発生した良悪二つの腫瘍には決定的な違いがある。肛門周囲腺腫はホルモン依存性であり、肛門周囲腺癌はそうではない。つまり、肛門周囲腺癌は雄・雌・不妊去勢手術の有無に関わらず一定の低い頻度で発生する悪性腫瘍だが、肛門周囲腺腫は去勢していない雄イヌに圧倒的に多発する良性腫瘍で、中高年男性病ということができる。
これには参りました。皆さんに情報をお届けするべく書いた文章に誤りがあってはならないし、皆さんのパートナーの健康管理をする身として知識に混乱があってはならない。
上記のように肛門周囲腺腫は去勢をしいない雄犬に多い腫瘍ですが、肛門周囲腺癌は実は雄でも、雌でも同じ確率で出てきます。
これは、調べてみればおおむねそのとおりであり、前号の僕の文章は内容に誤りがあったと言わざるを得ず、
お詫びして訂正いたします。
いろいろ調べてみると研究によっては調べた肛門周囲腺癌の犬の症例のうち90%が雄であった、とか、別の研究では肛門周囲腺癌は高齢の雄犬だけに診断された、などあたかも
癌であっても雄犬に好発する印象を持たせる文章も散見され、書物により見解のばらつきがある感じもあります。が、はっきりしているのは、肛門周囲腺にできる腫瘍は圧倒的に良性のものが多く、その多くが未去勢の雄であるということですね。でも、良性だからって放っておいてはいけません。あまり大きくなってからだと摘出しようとすると肛門の括約筋を傷付けざるを得ず、そうすると術後糞便を垂れ流しの生活となってしまうことがあり、これはこれでやっかいです。
そもそも手術が最良の手段なのかを考えなければいけなくなります。
夏のおわり
ようやく夏が終わりました。昼間に少し暑かったりするにせよ夜になれば過ごしやすくなってきて虫の声も涼しげになりました。
最近思うのですが、近年の夏は暑すぎて夏の風物詩が鳴りを潜め、9月の暑さが和らいでからの方が夏っぽい季節感になってる気が
します。気のせいでしょうか?
昔は街中でもセミがもっとうるさく鳴いていたように思います。
病院で育ててる朝顔も9月になってから花が良く咲くようになりました。
駐車場に2台駐車できるようになりました。ご利用ください!
Vol.01へ戻る Vol.02へ Vol.03へ Vol.04へ Vol.05へ Vol.06へ Vol.07へ Vol.08へ Vol.09へ Vol.10へ Vol.11へ Vol.13へ Vol.14へ Vol.15へ Vol.16へ Vol.17へ Vol.18へ Vol.19 Vol.20へ Vol.21へ Vol.22へ Vol.23へ
Vol.24へ Vol.25へ Vol.26へ Vol.27へ Vol.29へVol.30へ Vol.31へ Vol.32へ Vol.33へ Vol.34へ
Vol.35へ
こむかい動物病院ホーム |ごあいさつ |病院案内| 診療内容 |施設案内| 診療時間 | アクセスマップ 青梅市 河辺町 こむかい動物病院 各種予防処置・去勢避妊手術・往診 |