ノミやダニの話(犬編)
さぁ、春です!
寒さに縮こまり、家にこもりがちだった季節も終わり、お出かけが気持ちの良い季節到来!日差しもやわらかく、草木が色づき、
花の香りが心地よく、お散歩が楽しくなります。
当院の柴犬、ぽんたと楓は山や川で遊ぶのが好きで、暇があれば連れて行くのですが、その時のはしゃぎっぷりは室内で遊んでる時にはなかなか見ることのできない光景です。人気の全くない山の林道で自由にしてやると、あっという間にどこかへ走り去ってしまいます。で、しばらくすると藪の中からゴソゴソっと出てくるのです。秋、冬の間はこの時に体中に草の種をくっつけてきます。種だらけになってもこの子達はおかまいなし。とっくみあいして転げまわり、思いついたように穴掘りをし始めたり、おいかけっこをしたり、時には林道から外れて斜面を下りていって冒険をしたり。
山の中を自由に駆け回る柴犬の姿は日本犬本来の身体能力を教えてくれます。
室内にいる時は絶対にしないこともやってのけます。私の背丈と変わらないほどの高さのほぼ垂直な崖も簡単に飛び降りてしまいます。全力で疾走する姿は弾けるようで躍動感にあふれてます。
少しでも人が来そうなところでは自由にさせられません。この辺は山の奥に行けば遊び場があるので本当に良い環境です。いくら犬が楽しいからと言って人に迷惑をかけることはできません。そう、犬達は人の環境の中で迷惑な存在になってはいけません。ところが人気のない山には、ノミやダニが潜んでいることが多いのです。良いことと嫌なことは背中合わせ。
春めいて来ればノミやダニたちは動き始めます。
最近マダニを媒体とした人間の感染症が問題視されています。
犬がそんなものを住環境に持ち込むのはとても困ります。
毎年暖かくなると体にダニをつけたワンちゃんが数件来院します。
それはある時突然くっつきます。別にいつもと変わらない生活をしているのにある時突然やってくるのです。
今までで一番ひどかったのは顔と言わず、体と言わず、全身にびっしりとダニがついて、どうしたらこんなことになっちゃうのかしら?というくらい。
もう、病院の床から駐車場までダニをポロポロと落っことしながら歩き回るのには閉口しました。こうなっちゃうとうかつに家にも入れられません。百匹ではきかない数のダニをその時になって退治しても、落ちたダニが家のどこかに、家の周辺の草むらに逃げ込んでるかもしれないと思うとなんだかしばらくわんちゃんを散歩に連れて行く気がしなくなります。
ダニとかノミとか、伝染病とか、放射線とか、害になるものはいったん近隣にばらまいてからでは収拾がつきません。そうならないための事前の策がとても大事なのです。
ダニやノミの予防は背中につけるだけで良い手軽なお薬があります。月に一回それをつけることで予防ができますので、これはお勧めです!また、最近では内服するタイプの薬も出てきましたので、なかなか背中に薬をつけさせなかったり、いつもお洋服を着せているワンちゃんなどはこの方が使いやすいかもですね。
(予防してれば安心してあそべるよ!)
春になるともう一つ大事なのが狂犬病予防です。
春はなにかと忙しくなりがちな季節ですが、そんな中で受けなければいけない狂犬病予防注射です。はっきりいうと「面倒くさい」「国内で発生してないのだから打たなくたってうつらないじゃないか」「打たなきゃダメという義務になってる意味が分からない」いろいろな不満、疑問を持ってる方もおおいのではないかな、と日ごろ感じています。
無理もありません。
今となっては狂犬病がどれだけ恐ろしい病気なのか知っている人はもうあまりいません。かくいう私も生まれたときにはすでに国内では狂犬病が撲滅されていました。
日本では昭和32年を最後に狂犬病の発生がありません。
昭和32年ですよ、戦後直後です。王や長嶋がプロ野球デビューしたころです。戦争の記憶でさえ風化が進んでる昨今、狂犬病などに興味のある人がいるとも思えず、無理もない話です。
ところが、狂犬病が過去の話になってるのは国内でのことで、海外に目を向けると狂犬病被害は今でもいくらでもあります。特に狂犬病による汚染がひどいのはアジアなのです。日本は清浄ですがひとたび海を渡ると割と近隣に狂犬病が頻発してる地域があるのです。でも、だからといってワイドショウで取り上げられるわけでもありません。別に今更取り上げるようなネタではないからでしょう。
「それにしたって、義務化する必要があるのか?」
今、日本が狂犬病のない国でいられるのはまさに徹底した予防注射の義務化によるところが大きいのです。ここがないがしろになるといつ再び外国から狂犬病が持ち込まれ、国内で発生するかもわかりません。ひとたび流行すればそれは恐ろしいことになります。仮に外国から狂犬病が持ち込まれたとして、流行を阻止するには国内の飼育されている犬の約7割がきちんと予防されている必要があるといわれます。現在残念ながら予防注射の接種率はどうひいき目にみても70%には満たないと思われ、もし何かの拍子に国内で発生した場合に山火事のように燃え広がることが危惧されています。いや、管理している役所が危惧してるんですよ、一般国民のほとんどは危惧してないと思います。恐ろしさを知らないから。
狂犬病は、感染した犬にかまれることで犬にも人にも、そして大抵の哺乳類にうつります。そしてひとたび発症すればほぼ必ず命を落とします。犬も死にます。人も死にます。ほぼ間違いなく。感染した犬は獣医師だって恐ろしくて手が出せません。
感染した犬は攻撃的になり、積極的に人に襲い掛かることがあります。火のついた棒切れにさえ咬みつくとも言われています。こうなってくると動物愛護どころの話ではありません。まず人間の安全確保が最優先にならざるを得ません。
外国では、狂犬病を人にうつす動物が犬以外にもいるためなかなか撲滅できずにいます。どんな先進国でも狂犬病は撲滅できていないのです。
日本は犬の管理さえ徹底すれば狂犬病が予防できる世界でも類を見ないラッキーな国なのです。
だから、狂犬病予防注射は
本当に悪いこと言わないからうっときましょう!
(こんな病気が日常茶飯事になったら、僕らの仕事も命がけです…)
ノミやダニの話(猫編)
当院には猫の患者さんも多くいらっしゃいます。
僕自身猫が好きで、猫の飼い主さんが猫をとてもかわいがる気持ちがよくわります。猫って、甘えたくなるとどこからともなく近寄ってきて、おもむろに頭を人の体にズイっと押し付けてきます。寝そべってるとさも当然のように人のおなかにのってきて座り込んでくつろぎ始めます。別に何をするでもなく一緒にいたい、触れていたい、そんな奥ゆかしい可愛さが猫のたまらなく魅力的なところだなぁと思ってます。
ところが、これだけスキンシップを好む猫ですが、日ごろ仕事をしていますと犬と比べて相対的にノミがついてることが多いのに気が付きます。頭を摺り寄せ、おなかの上に寝そべり、布団の中に入ってくる猫の体にノミがついてるとは思いたくありませんが、飼い主さんに気づかれずにノミをつけている猫、実はけっこういます。
前述のとおり犬は昔から何かと予防の対象になりやすい動物だったためか、犬の飼い主さんにとって病気の予防は当たり前のようになりつつありますが、それに比べると猫の飼い主さんは比較的、自然主義というかナチュラル指向というか、あるがままの猫を受け入れてあげる傾向が強いように感じます。
僕は仕事抜きに言えば、動物を人間の都合で手を入れるよりはできるだけありのままの魅力を感じていたい方でそういう意味では多くの猫の飼い主さんとちょっと考え方がにてるかな?と思います。
ただ、ちょっとしたことでいい環境にできるのならそれはやってあげると良いのになぁと思うこともあって、その最たるものがノミ、ダニの予防です。注射をうつわけでもないので痛みも伴わないし、投与の手間もたいしてかかりません。
ノミは毛をかき分けても滅多なことではみつかません。
猫の毛の中のノミを見つけるのは、林のなかで落っことしたコンタクトレンズを探すようなものです。絶対にそこにいるとわかっていて毛をかき分けても見つからなかったりします。
一方ダニは猫の場合あまり見かけないような気がします。
猫の場合問題になりやすいのはノミの方だと思います。
効き目のしっかりとしたノミ、ダニ退治および予防の薬がありますので、これからの季節は是非ご検討ください。
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