今年はあまり雪がふらないまま、もう2月も終わろうとしています。
物足りないような気もしますが、野良猫達にとってはありがたいことでしょう。
我が家の猫のおーちゃんとわるたろうは寒さにさらされることも無くクッションの上や布団の中でのんびりと過ごしています。
おーちゃんが我が家にやってきたのは10年ほど前。11月も下旬のある寒い朝、寒さで弱り、だきあげてもピクリとも動かず、
まるで屍のようにダラン…と力なく、路上でこと切れかけてた小さな仔猫でした。
聴診器を胸に当て、心臓の鼓動を確認するまでは死んでるものと思っていました。
「まだ生きてるじゃん….」
体温計をお尻に挿しいれても、体が冷たすぎて数字が表示されません。
静脈に点滴の針を入れ、あたためながら看護するも、その日のうちはほとんど動く様子もなく、ちょっと見込みが薄いかなぁと
思われました。
(我が家に来て平穏無事な生活が始まったころの、あどけなさが残るおーちゃん)
ようやく自分で立ち上がるようになったのは面倒を診はじめてから三日ほど経ったころでした。どうにかちょこんと座れるようになった仔猫の前に缶詰のご飯を見せると欲しそうな素振り。でも、体が思うように動かず震えてしまって顔がうまくお皿までもっていけません。
ご飯を食べるようになった仔猫は少しずつ自分で動こうとするようになりました。でも低体温でいた時間が長すぎたせいか、なかなか普通に動けません。もう3~4日経つというのに頭上で猫じゃらしを見せると体を精一杯伸ばして頭上に手を伸ばしながらそのまま後ろにひっくりかえってしまったり。
「これは、少し障害が残るかもしれんね……」
それでも日が経つうちに徐々に回復し、心配していた障害が残る様子もなくだんだん普通の仔猫になっていきました。
でも、気のせいか?
なんとか元気を取り戻した仔猫は、なんか…普通の猫とくらべてどこかキョトンとしてるような……
それに、「怖い」とか「警戒心」とかいった負の感情がぜんぜんない、とっても無防備な仔猫だったのです。
「もう少し、ほかの猫や犬に対して警戒するものだけどなぁ」
もしや、低体温で脳にダメージを負った結果、そういった負の感情が欠落してしまったのか?そんなマンガのようなことを言われながら、その後仔猫は育っていき、「おーちゃん」という名前をつけられて、我が家にやってきたのでした。(どこかキョトンとしてるんだよね…なんなんでしょう?)
で、結局今はこんな感じで、なに不自由ない暮らしを手に入れましたとさ、
めでたし、めでたし。
(フ、、、若いうちは苦労しとくもんだぜ……)
おーちゃんの例を見るまでもなく、冬は野良猫にとって受難の季節です。
野良猫たちは野生動物の掟に従って生きています。それは過酷で時には残酷な環境です。私たちが少しでも住みやすい環境を提供してあげられたら素敵ですが、当然やれる範囲に限りがあります。他所に迷惑をかけることになってもいけません。
結局、人に飼われて幸せに暮らせる猫はほんの一握り。とても幸運な猫なのでしょう。でも、しかたない。猫に限らず野生動物は皆等しくこの過酷な条件の中で必死にいきているのです。別に猫だけが大変なわけではないのです。
全ての生命が苦痛も不安も恐怖も無く安心して暮らせる世界、そんなユートピアが実際にあるなら良いのですが…
冬、寒さが厳しい朝、多摩川沿いを通勤していると時々川の上空に霧が低くたちこめていることがあります。とても幻想的で好きな風景です。いつか写真に収めたいと思いながら今までかなわずにいます。
都会的なイルミネーションなどもいいのですが、自然が作り出すきれいな風景が好きです。雪景色はその最たるもの。特に山中の雪景色は格別。街の、車に踏みしめられたベチャベチャな雪とは全く違います。
雪の中を馬たちが佇んでいる姿はとてもたくましく、なにをしているわけでもないのに不思議ときれいで感動的です。いつも考えます。馬たちは何を考えてるのだろう?「寒いなぁ、嫌だなぁ」なんて思ってるのかしら?寒いのにわざわざ水の中にいる水鳥たちは何を考えているのだろう?「冬は水が冷たくていやだなぁ」なんて考えてるのかしら?嫌ならわざわざ水には入らないだろうから、そんなにつらくないのかなぁ?
そしていつも思うのです。寒い中外にいる野良猫は……はたして不幸なのだろうか?
たしかに野良猫は飼い猫よりも短命で、病気にかかりやすく、時には車にはねられてしまったり。人に追い払われたり、目の当たりにすれば可哀そうだと感じます。
野良猫はそんな野良生活が大っ嫌いなのだろうか?ヒトにひどいことをされて猫は「人間って嫌な奴だ、見たくもないよ」と思ってるのでしょうか?
嫌いならば何故猫達はヒトのいるところにばかり住み着いているのだろう?
山奥に行ってみてください。猫なんていません。
猫は、ヒトのそばが良いんですね。時に車にはねられたり、追っ払われたりしてもそれでも尚、ヒトの傍で暮らすのが都合がいいんでしょう、きっと。でもだからといってはじめからヒトに飼われたいと思ってるわけではないはずです。
それなのに、それなのにです、都合がいいのか、ヒトが好きなのか、さっぱりわかりませんが猫達はヒトに近づいてきます。そしてヒトは猫達に可愛さを感じて猫の面倒をみてやり、そうこうするうち成り行きでヒトと猫はいつしかお互いを好きになっていくのです。不思議な縁です。
かんがえてみればヒトもまた可愛らしい動物です。
損得でしか動かない動物なのに、なんの得にもならない猫のために一生懸命手間暇をかけているのです。
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