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今回はちょっと猫びいき、な話
春は多くの犬達が病院に来る季節です。
多くの犬や猫に接しながら、私たちはいつの間にか彼らの扱いに慣れてきました。
でも、慣れてはいても時には咬みつかれることや引っ掻かれることがあります。
そして、そのたびに「まだまだ修行が足りないな」と思うのです。
時には慣れるだけでなく、犬や猫の行動パターンを勉強しながらどう接するのがスムーズに扱えることにつながるのか
研究してみたり…….
犬も猫も四つ足で歩き、走れば人よりはるかに速いスピードで走れます。嫌なことを無理やりやれば怒って咬みついたりします。
これは犬にも猫にも共通した行動で、大雑把に眺めてるだけだと犬も猫も同じように見えます。
なんとなくは皆様もお分かりになると思いますが、犬と猫では実はかなり体の使い方が違います。
犬、猫と聞いて頭に浮かぶイメージがそれを物語ってます。
例えば犬にけがをさせられた、と言えば「咬みつかれたんだな」と考えますね。
猫にけがをさせられた、と聞いたら「引っ掻かれたんだな」と考えるでしょう。
犬に逃げられてしまった、と聞いたらなんとなく道のはるか向こうまで犬が走り去ってしまう姿を想像します。
猫に逃げられてしまった、と聞いたらなんとなく窓を開けた隙に窓から外へ飛び降りてそのまま垣根の下の狭い隙間を潜り抜け、
向こう側に姿を消してしまう姿を想像するかもしれません。
猫が犬に比べて扱い辛さを感じさせられる理由はこの中にヒントがあります。
犬は平面移動しかせず、基本的に人間と行動範囲が同じです。一方猫は上下にも自在に移動ができ、人間よりはるかに移動できる
範囲が広いのです。忍者でもない限り猫に追いつくことは不可能です。
攻撃をする時、犬は咬みつきがほぼ唯一の攻撃パターンです。
一方猫はパンチ（引っ掻き）、そして咬みつきと犬に比べて攻撃のバリエーションがあります。
また、犬は基本的に首輪、リードという道具で動きを制限することができます。
猫にも首輪をつけたりはしますが、猫の場合首輪はただの飾りに過ぎず、動きをコントロールする道具としてはほとんど役に立ちません。
猫は基本的にどう抑えたところで猫が本気になれば確実に脱出できます。犬は口にさえ注意をすれば攻撃は避けられますが、猫は口が使えなければ前足の爪がでます。前足が使えなければ後ろ足の爪で引き裂きます。前後の連携プレイが封じられれば再び牙の出番です。
これでは手が三本ないと抑えられません…….（とは言っても、いざとなれば抑え方はあるのですが）
猫の手も借りたい
なんてことを言いますよね。
私たち、とくに猫好きの人にとって猫の手はとても魅力的。
あまり意識したことが無いかもしれませんが、猫って手の使い方が可愛らしい、それで知らず知らずのうちに猫の手に愛着を感じるのかもしれません。
私たち人間もかなり手を多用する動物です。というか、手を器用に使えることが最大の特徴です。だから同じように猫が手を器用に使うのを見て知らず知らずのうちに気持ちが通うように思うのかもしれません。
（↑仕事の邪魔をしてばかりの幼い頃のわるたろう）
猫の手は攻撃の時だけではなく、甘える時にも可愛らしい表情を見せてくれます。相手をしてほしい時に手で飼い主の顔をそっと
触ったりします。気持ちが盛り上がってくると腕に抱きついてきて、後ろ足でキックをしたりします。これは可愛くもありますが、
加減の下手なネコちゃんにやられると痛い………
また、撫でられてうっとりした猫は次第に目を細め、両手でモミモミし始めたりします。
猫の手は実際には忙しい仕事の手伝いはしてくれませんが、私たちに大いなる癒しをもたらしてくれるのです
猫の手は私たちを癒してくれます。
猫の手は私たち獣医師を悩ませてもくれます。
結論として、猫は抑え込んで何かをするような生き物ではないのでしょう。
仲良くなって、受け入れてもらうことで処置することを猫自身に了承してもらうしかないなぁと感じてます。
人に飼われてる猫は人と気持ちを通わせることができます。
（と私は勝手に思ってます）
意外と猫って心が広いんですよ！
（↑あまえて手を出してくる幼い頃のおーちゃん）
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