3月になりました。
春はもうそこまでやってきています!
最近、時々虫を見かけることがあります。かすかな春の気配にいち早く活動を開始した気の早い虫たちです。でも、みかけた翌日はまたいつもの冬日に戻ってしまったり。
そんな時、「昨日見たあの蝶はこの寒さをしのげるのだろうか?」
気になったりします。
これがコバエなんかだと全く心配になりません。
人間なんて勝手なもので、きれいな花鳥風月は愛でるのに、ヤブカ、ガやハエ、ゴキブリ、シロアリ、ネズミ、蛇なんていうのは居てほしくないのです。
蚊にさされたり、ダニがついたりするのを見て
「自然が豊かでいいわねぇ」
なんて思う人はいないわけでして。
人間が忌み嫌う虫は多くの場合人間の生活に入り込んで、人間の生活環境を巧みに利用してる虫が多いように思います。生ごみをうっかり放置しておくと、いつの間にかコバエやゴキブリがよってきます。夏場、人の血を吸いに蚊がよってきます。シロアリは知らぬ間に住居の柱を食い荒らし、住宅に壊滅的な被害をもたらすことがあります。ネズミは屋根裏にひそみ、こっそりと人目につかぬよう食料をくすねます。どれも人間にとっては困った存在です。
長年人間を困らせてきた虫や生き物は、やがて人間に「気持ち悪い」という感情を抱かせるようになりました。これは犬や猫を見て「可愛い」と感じるのとまったく逆の現象のように思います。
人の役に立つハンターの話
最近の猫はネズミも捕らない、なんていいます。
「最近の若いもんは…..」とは、誰もが年を重ねるうちに口にしだす定番の文句。
猫もご多分に漏れずその対象になるようです。
実際のところは「いないものは捕らない」というところでしょう。
昔に比べて身近にネズミの被害が圧倒的に少なく、猫の出番がないのも無理はありません。
我が家の猫は、家に出没する害虫たちをそれこそしらみつぶしに、徹底的にやっつけてくれます。昭和の中ごろから立っている私の住むマンションは入居当初は頻繁にゴキブリが出ました。
しかし、わが愛猫「おーちゃん」が我が家にやってきて以来幾多のゴキブリたちが彼の犠牲となり、今は数年に一度ゴキブリを見るか見ないかというほどに激減したのでした。おーちゃんは机の上を歩いていて踏み外して落っこちてしまうような、あまり切れ味の良くない印象のボンヤリした猫ですが、虫を見つけると時には飛んでるハエでさえダイビングキャッチで退治してくれます。
(↑ おーちゃん:ぼやーっとしてます。とても飛ぶハエを捕まえるようには見えません)
おそらく昔から猫は人と一緒に暮らしながら害獣、害虫駆除の役目を果たしてきてくれたのでしょう。猫は人にとって都合の良い生き物だったのでしょう。
猫も寄生されるという話
長年猫に害虫駆除をしてもらっていた人間でしたが、最近は住宅環境、衛生環境の向上で猫のハンターとしての役目は無用の長物となってきています。
虫は捕らない、ネズミも捕らない、なんの役に立つでもなく一日中ボヤ~っと寝て過ごし、食うに困らず、むくむくと太り、むしろこっちが猫につくノミの退治などをするに至っては「最近の猫はネズミもとらない」と嘆きたくなるのもわかる気がします。
昔の猫はだいたい半分野良で、俊敏で人に頼らず野性味に溢れ、それがまた魅力的でした。ただ、残念なことに往々にして短命に終わることが多かったようです。
野良猫に関するきちんとしたデータというのはなかなかないのですが、その寿命は平均的に3~4年とも5~6年とも聞きます。飼われている猫が平均的に13~15年、20歳超も珍しくないことを考えると雲泥の差です。
つまり、野良ちゃんたちの多くが寿命をまっとうすることなく命が尽きているのです。
私たち人間の環境に巧みに入り込む害虫同様に、猫の体に巧みに入り込む寄生虫や病原生物も多くいるのです。それらに隙をつかれ、健康をむしばまれるケースも多いのです。
猫の体表につくノミ、ダニや疥癬などの寄生虫。これらは命をとることは稀ですが、痒みや皮膚疾患などのストレスを持続的に与え続けます。ストレスが続くことで体の免疫状態は不安定になり更なる病気に対する抵抗が弱くなります。またノミやダニが猫の体に更にちいさな病原微生物をうつすこともあります。
さらに猫同士で移しあってしまうウイルス感染症が追い打ちをかけます。
いわゆるネコ風邪は外猫では日常茶飯事。ひどい目やに、鼻水、鼻づまりを引き起こします。鼻のつまった猫ちゃんは食欲が落ちてしまうことが多く、それでも貪欲に生きなければならない野良たちは少しのことではへこたれないでしょう、が、冬の寒さがそこへ加わることで力尽きるものが出てきます。
感染するだけで死に至るような怖い感染症もいろいろあります。
これだけでも十分なのに、最近の知見ではさらに厄介な問題が指摘されつつあります。犬の飼い主にはおなじみのフィラリアが猫にも感染し病気を発現させるらしいことがわかってきています。
猫の病気の予防
こうして考えるといろいろな予防をしてあげることは大きな価値がありそうです。
個人的に猫好きな私としては、一般的に猫の方が予防がおざなりになりがちな傾向が残念でなりません。個人的な感情だけで物を言うべきではありませんが。
猫は平成の時代になっても自由にお外へ出かけるスタイルで飼われることの多い動物です。外飼いの良し悪しは議論のわれるところですが、現実問題として外猫のお世話をしている方は大勢いらっしゃって、皆猫が元気で健康でいることを望んでいます。
「うちのは野良だから」
と予防をされない方も多くいらっしゃいます。猫との付き合い方を考えるとわかる気がします。
でも、私は外へ自由に出かける猫ほど病気の予防をするといいのになぁ思っています。
外の世界は病気がいっぱい。季節だって快適な季節ばかりではありません。体調を万全に整えて厳しい暑さ、寒さに備えるのが良いように思います。
また、野良ちゃんは一度病気になってしまうと飼い主にも病状の把握が難しく、慣れない人には触らせなかったりと治療が難航することが多く、まず病気にさせないための対策をとってあげるのが重要です。
猫の病気の予防の話
「この子は私にしか触らせないの」
という猫、いますよね。その猫の健康管理は触れる方がどこまでやってあげられるかにかかってきます。なんの偶然かいつの間にか付き合いの始まった野良ちゃん、
これも何かの縁です。みなさんだけがやってあげられることを、少しずつやってあげてみてはどうでしょうか?
簡単にできる猫の病気の予防は以下のようなものがあります。
1.混合ワクチン
これは、猫にかかることの多いウイルス感染症を予防するための注射です。
一般的に、猫カリシウイルス感染症候群、猫ウイルス性鼻気管炎、猫汎白血球減少症の3種類の感染症の予防を目的とした、3種混合ワクチンを年に一回接種します。
※初めての接種では一か月間隔で2回うちます。
2.ノミ、ダニ予防
これは、首筋につける液体の薬で予防ができます。月に一回、もしくは二か月に一回程度の投与で予防ができます。
3.フィラリア予防
フィラリアとはもともと犬の心臓に寄生することで問題になっていた寄生虫です。近年、猫にも寄生して病気を引き起こすことがわかってきており、時に命にかかわることのある病気です。
今まで猫のフィラリア症という病気自体私たち獣医師にも馴染みがなく、多くのフィラリア症が診断されることなく見過ごされてきた可能性があるといいます。
猫の原因不明の突然死のうち何例かはフィラリア症が原因だった可能性があるというのです。
実際には病態や日本国内での全国的な発生状況が完全には把握されていない状況ですが、月に一度背中に液体のお薬をつけるだけで予防はできますので、是非とも予防することをおすすめします。また、この予防薬は消化管内寄生虫の駆除の効果もあります。
もうすぐ春ですね
冬の終わり、もうすぐ春が来そうで来ない時期。
でも、日々の寒さが少しだけ緩んできました。
三寒四温、徐々に暖かい日が増えるのが待ち遠しいですね。
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